ブランチごとにDB切り替えるヤツ作った
Gitのブランチ名をもとにActiveRecordが接続するDBを切り替えるRubygemを作った。
使い方
group :development do
gem "brancher"
end
Gemfileに書いてbundle installするだけ。あとは自動的にブランチごとに別々のDBが使われるようになる。
config/database.ymlでdevelopment環境のDB名をsample_app_devと指定していた場合、masterブランチならsample_app_dev_masterが使われるし、some_featureブランチならsample_app_dev_some_featureが使われる。
問題意識
複数のブランチを移りながら開発していると、migrationを実行したブランチとしてないブランチでDBのスキーマが不整合になってエラーをおこすことがよくある。そのたびにrake db:migrateだったりrake db:resetだったりrake db:schema:loadしたりするのが非常に面倒だった。そういった問題を解決するためにブランチごとにDBを分けられるツールを作った。
どう実現しているか
やっていることはconfig/database.ymlをロードしたオブジェクトをいじっているだけ。これをいじるタイミングは2つある。Railsアプリケーションの初期化時とdb:load_configタスクだ。
Railsアプリケーションを初期化する際、ActiveRecord::Baseがロードされたあとにestablish_connectionが実行される。このメソッドはconfig/database.ymlに基いてDBとのコネクションを接続するものなので、これが実行される前にDB名をブランチ名に従っていじってあげる必要がある。実際に実行されているコードは以下の通りだ。
# lib/active_record/railtie.rb
initializer "active_record.initialize_database" do |app|
ActiveSupport.on_load(:active_record) do
self.configurations = Rails.application.config.database_configuration
begin
establish_connection
# ...
end
end
end
Rails.application.config.database_configurationはconfig/database.ymlの中身をERBで展開してYAMLとしてロードしたHashオブジェクトだ。これがself.configurationsにセットされてestablish_connectionが実行される(ここでのselfはActiveRecord::Base)。よって、この初期化処理が実行される前にRails.application.config.database_configurationをいじればいい。
初期化処理の一連の流れに割り込むにはRails::Initializable.initializerメソッドのオプションを使う。そして、その中でRails.application.config.database_configurationの中身を上書きする。
# lib/brancher/railtie.rb
initializer "brancher.rename_database", before: "active_record.initialize_database" do
Rails::Application::Configuration.send(:prepend, DatabaseConfigurationRenaming)
end
次に、db:load_configタスク内でもconfig/database.ymlをいじる必要がある。なぜかというと、rake db:createなどの一部のRakeタスクは上述の初期化処理が実行されないからだ。environmentタスクに依存しているタスクであれば、environmentタスク内で初期化処理が行われるため問題ない。一方、db:load_configタスクは(おそらく)すべてのDBに関連するRakeタスクが依存しているため、ここでDB名をいじってあげればいい。
# lib/brancher/railtie.rb
rake_tasks do
namespace :db do
task :load_config do
DatabaseRenameService.rename!(ActiveRecord::Base.configurations)
end
end
end
Rakeタスクは通常のメソッドとは異なり、同名のタスクを定義しても上書きされることはない。先に定義された順に同名のタスクが実行される。
所感
上のような初期化処理の仕組みやRakeタスクの追加などは以前のエントリなどでRailsの内部を読み理解を深めることによって実現することができた。ブラックボックスの中身が見えてくると、こういったRails自体に関わる便利ツールを簡単に作ることができてしまう。引き続きRailsのソースコードリーディングは続けていきたい。